海賊王子ヒースコート(1)
「ヒースさん…」
不意に控えめな呼びかけが聞こえた。
振り向けばそこには…。
「アイリーン…」
浮かない表情でこちらを見つめる愛しい恋人の姿。
「よくここがわかったな」
「一度、レイバンさんと一緒に来ましたから」
ガルニカの港から離れた場所に停泊中のブラックエンジェル号。
もう一度ヒースコートに会うため、アイリーンは一人でやって来たのだ。
「今日、行ってしまわれるのですね」
「ああ…」
「いつ、お帰りに…?」
「わからない…」
予想していた答えにアイリーンは苦笑した。
そして、用意していた言葉を躊躇いに躊躇ってから口にする。
「私も………一緒に行きたいです」