海賊王子ヒースコート(1)

しかし、まだ標的のギルバート・ロックウェルが見当たらない。

さて、どうするかとヒースコートが腕を組んだ時だった。


「まあ、見て!アイリーン嬢よ!」


近くにいた婦人が漏らした言葉に、ヒースコートは素早く反応した。


「お!主役の一人がお出ましか?」

レイバンも大広間の入り口に興味津々で視線を注いだ。


「アイ、リーン…」


しずしずと登場した彼女の愛らしさといったら、思わずヒースコートが頬を染めてポロッと彼女の名前を呼んでしまうほどだ。


「へー、初めて見るけど、すんげー美人だな。彼女がくそったれのものになるなんて…なんか腹立つな」

レイバンの意見にヒースコートも黙って頷いた。


< 37 / 376 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop