海賊王子ヒースコート(1)
しかし、まだ標的のギルバート・ロックウェルが見当たらない。
さて、どうするかとヒースコートが腕を組んだ時だった。
「まあ、見て!アイリーン嬢よ!」
近くにいた婦人が漏らした言葉に、ヒースコートは素早く反応した。
「お!主役の一人がお出ましか?」
レイバンも大広間の入り口に興味津々で視線を注いだ。
「アイ、リーン…」
しずしずと登場した彼女の愛らしさといったら、思わずヒースコートが頬を染めてポロッと彼女の名前を呼んでしまうほどだ。
「へー、初めて見るけど、すんげー美人だな。彼女がくそったれのものになるなんて…なんか腹立つな」
レイバンの意見にヒースコートも黙って頷いた。