海賊王子ヒースコート(1)
「ジャ~マラ!」
一声鳴き、陸地に立つアイリーン目掛けて急降下する。
ここでヒースコートはジャッキーの意図に気づいた。
「ジャッキー、お前…」
とんだお節介カラスである。
しかし、ここまでされたら「乗ってやろうじゃないか」と前向き思考になるのがヒースコートだ。
「アイリーン!!!!」
だんだんと近くなる彼女との距離。
ヒースコートは恋人に向かって叫んだ。
「来い!!!!」
差し出された手。
アイリーンは地面スレスレまで降りてきたヒースコートに駆け寄り、躊躇いなく抱き着いた。
そして、ジャッキーは再び飛翔する。
「ちょっ!?アイリーン!?」
「わお。やるね。我が息子は」
「兄上ぇ!僕も連れてって~!!」
ヴィンセント達の声が徐々に遠くなる。
船に追いつこうと、ジャッキーはスピードを上げた。
「ヒースさん…」
「ん?」
アイリーンはヒースコートに抱きしめられたまま頬を赤らめた。
「ありがとうございます」
「……危険な船旅になるぞ?」
「わかっています。大丈夫です。ヒースさんと一緒なら…」
太陽が昇る。
「アイリーン、こっち向け」
「はい?んっ…!?」
口づけを交わす二人の未来をも、明るく照らすかのように。
〈END〉