海賊王子ヒースコート(1)
「船長達はいつ突っ込んで来るんだ?」
アイリーンから目を離さずレイバンが尋ねた。
「主役の二人が婚約の贈り物を交換する式がもうすぐ始まる。それに合わせて、だそうだ」
「もうすぐか…。ワクワクしてく…っひ!!ヤバ!?」
「ん?どうした?レイバン」
突然レイバンが小さくなりヒースコートの後ろに隠れた。
「お願いだ!動くなよ!?ヒースコート!動いたら見つかる!!」
「は?」
誰に見つかるというのだろう。
「知り合いでもいたのか?」
レイバンはプルプルと身体を震わせながら、こくこくと首を縦に動かした。
心なしか、顔が青ざめて見える。
「ああ…。絶対会いたくない知り合いがいた。ある意味くそったれよりヤバい相手」