海賊王子ヒースコート(1)

「うふふ、堅苦しい挨拶はなしでいきませんこと?早くお二人の幸せな姿が見たいですわ」

ミルフォード夫人ことヴィンセントの妻、エヴァンジェリナが無邪気に笑った。


「はい」


他の客も心待ちにしているであろう瞬間。

皆から期待を含んだ視線を浴びつつ、ギルバートは大広間にある階段に上がった。

高い位置から客を見下ろし、決まり文句のような挨拶を始める。


「皆様、今夜は私達の婚約式のためお集まり下さり――」










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