海賊王子ヒースコート(1)
と、その時。
「お~い、俺様達を招待し忘れてイチャついてんじゃねーよ、このくそったれ!!」
豪快に大広間の入り口から現れた人物。
「クレマン海賊団がこのパーティーをぶち壊しに来てやったぜ!」
船長ダリウスが剣の切っ先を階段上にいるギルバートとアイリーンに向ける。
一瞬にして、会場内が騒然となった。
「か、海賊!?」
「きゃああ!!海賊よ!!」
「マダム落ち着いて!」
「何をしている!!ならず者を取り囲め!!」
様々な声が飛び交う中、ギルバートはアイリーンの肩を抱き、わりかし安全そうな広間の端に導いた。
「ここにいて下さい」
それだけ言うと彼は騒ぎの激しい広間の中央へと戻っていった。
懐に忍ばせていた銃を取り出して。