海賊王子ヒースコート(1)
「はう~!カッコイイです!ヴィンセント様、さすがですわ。キリリとすると中身があれでも赦してしまいます!」
エヴァンジェリナが夫をベタ褒めする傍ら、不安を拭いきれない表情でアイリーンは兄を見送った。
(ギルバート様…お兄様…)
人々の喧騒の他、銃や剣の音が広間に鳴り響く。
そのような中でギルバートはクレマン海賊団のボスと対峙していた。
「やはり来たか。死にぞこないの猿め」
「へっ、御託はいいから…始めようぜ?海軍様よぉ!?」
ダリウスの剣がギルバート目掛けて迫る。
死の刃を間一髪で避けながら、ギルバートは銃を構えた。
「死ね」
悪魔も逃げ出すという紫の瞳でダリウスの頭を狙い、続けざまに撃ちまくる。