海賊王子ヒースコート(1)
「おっと」
銃弾の一発がダリウスの頬を掠めた。
「危ねえな、おい!!」
と言いつつ愉快そうに剣を振り上げる。
「くっ!」
ギルバートはダリウスの一撃を銃で受け止め、薙ぎ払いながらズボンのポケットに隠し持っていた小型ナイフを左手に握った。
「なっ!?」
ダリウスの首筋をナイフの刃がなぞる。
「ふっ…祈りの時間だぞ?」
不敵に笑むギルバートに一瞬ヒヤリとなった。
「船長!!」
我らが船長の危機にランバートが割り込もうとするが…。
「そこの眼鏡くんは私の相手をしなさい」
足元に銃弾を二三発撃ち込まれ、ヴィンセントに行く手を阻まれてしまった。