海賊王子ヒースコート(1)
そのまま、身体をぐいっと引き寄せられる。
「あ、の…」
――あなたは?
喉元まで出かかった疑問は、彼の動きにより悲鳴に変わった。
「きゃあ!!」
手首を捻り上げられ、乱暴に身体を拘束される。
「ギルバート・ロックウェル!!」
彼はアイリーンの顎に銃口を押し付けながら大声を上げた。
「今すぐ船長から離れろ!!さもなくば…婚約者を殺す!!」
「!?」
この場にいた全員が金髪の青年とアイリーンに注目した。
「アイリーン嬢っ…!」
ギルバートが歯ぎしりをし、戸惑う。
「アイリーン!!」
ヴィンセントが妹のもとへ駆け出そうとしたが、銃撃に足止めをくらった。
「貴方の相手は私でしょう?」
愛用の眼鏡をクイッと押し上げる。
ランバートだった。