海賊王子ヒースコート(1)
砲術長とはヒースコートの肩書きだ。
「は!?船長!?」
優勢になればさっさと解放するつもりだったヒースコートは、驚きを露わにした。
その間にも他の仲間達は船長の指示通りとっとと撤退していく。
「急げ!!」
レイバンがヒースコートを促す。
「ちっ…」
仕方なしに、ヒースコートは恐怖で硬直しているアイリーンをともなって歩き出した。
が、その時。
「アイリーン嬢を置いてってくれないかな~」
黒髪の男性がヒースコートの背後から彼の頭に拳銃を突き付けた。
海軍少佐でありギルバートの親友、リチャードだ。
「動いたら撃つ。振り向いても撃つ。理解できたら大人しくアイリーン嬢を放せ」