海賊王子ヒースコート(1)
「もう泣くな。俺は何もしないから」
撫でていた手を彼女の頬に滑らせ、涙を拭ってやる。
「ほ、んと…?何も…しな、い?」
少し落ち着いたアイリーンが涙目で見上げてきた。
悲しげな表情に上目遣い。
なんとも庇護欲をそそられる。
「…ああ。何もしない。だから今日はもう休め」
ベッドで寝るように勧めてから、咳ばらいを一つ。
「それと…服を着てくれないか…?さすがに…目のやり場に困るから」
庇護欲が色欲に変わる前にその白い肌を隠してほしい。
「あ、す、すみません…!」
自分の恥ずかしい格好に気づき、アイリーンは慌ててヒースコートの服に袖を通した。