荒れ球リリーバー
須永先生を直視出来ないから、目が泳いで挙動不審になる。

《高岡選手とお付き合いされているんですか?》

突如、私の耳に入る音声。

泳いだ視線は、音の発信源に向かった。

職員室の隅に位置する小さな液晶テレビ。

例の女子アナが、マスコミの囲み取材を受けてる。

須永先生に返事する事も忘れて画面を見る。

彼女は、笑顔で答えた。

《はい。良いお付き合いをさせて頂いてます》

《貴方にとって、高岡選手はどんな存在ですか?》

《一緒にいると安心出来るとても大切な人です》

照れ笑いして答える彼女は、同性の私から見ても凄く可愛い。

《ご結婚は、考えていますか?》

《近い内、皆さんに良い報告が出来ると思います》

女の幸せを全て詰め込んだ彼女の笑顔は、今の私に物凄く眩しく見えた。
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