荒れ球リリーバー
「え?須永先生。私、お酒は…」

「今日は飲むべし。これ、上司命令」

年上で調理師科の主任でもある須永先生に、上司命令と言われて私は反論出来ない。

「じゃあ、いただきます…」

運ばれて来たカクテルに、渋々口を付けた。

下戸の私は、カクテル一杯飲むのが精一杯だ。

瞬く間に、私の頬は紅くなる。

「大丈夫?」

須永先生は、苦笑いして様子を伺って来た。

誰のせいだと思ってるのよ!

心中で悪態付きながら、私より背の高い彼を睨み付けた。

「俺だって男なんだから、その顔やめて」

「へ?」

困った顔した須永先生の言葉に、私は首を傾げた。

「青枝先生って、たまに鈍感で天然だよね」

益々訳が分からない彼の言葉に、私はただただ眉を寄せる事しか出来なかった。
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