荒れ球リリーバー
「すぐには…難しいです…」

「うん…」と須永先生は頷いた。

「だけど…」

私は、彼の手を握り返して言った。

「須永先生の事。好きになりたいって思ってます」



「今日は、ありがとうございました」

「俺の方こそ、ありがとう。じゃあ、おやすみ」

「おやすみなさい」

アパート前まで送ってくれた須永先生の背中を見届けて、私は部屋に入った。

ほろ酔い気味だけど、どうしてもやりたい事がある。

私は誠一郎を忘れる為、思い出を捨てる。

だから、今から部屋の掃除だ。

まずは、誠一郎のユニホームを手に取った。

「結局、セイの前で着なかったなぁ…」

誠一郎のユニホームで、応援行きたかった。
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