荒れ球リリーバー
帰り道。

私のアパート前まで送ると言う須永先生の手が肩を抱き寄せて来たけど、酔っ払いの私には振り払う気力ゼロ。

何より誰かの支えが無いと、歩く事も難しい。

大事な話を出来る状態でないけど、歩いてる間に何とか酔いが醒める事を期待する。

遂にアパート前に到着。

悲しい事に未だ酔いは醒め切らないが、先伸ばしにする事は避けたい。

ふらつく足取りと朧気な意識の中、須永先生に懸命に話し掛ける。

「須永先生!お話があります!」

「なっ、なに?」と少し後ずさる須永先生。

彼の手から離れて向き合い一際大きな声で自己主張する私に、圧倒されたような表情を浮かべる。

一呼吸置いて、須永先生に話そうとした時だった。
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