荒れ球リリーバー
痛みに顔を歪めるピッチャーは、ピッチングコーチとトレーナーと共にマウンド上からベンチ裏へ下がる。

どうやら投手交代のようだ。

『ピッチャー。高岡。背番号63』

代わりのピッチャーとしてコールされたのは、昨夜から私を悩ませる男の名前。

只今、三回の表。

1対0と僅かに誠一郎のチームが、リードしている。

長いイニングを投げる事の出来るスタミナを持つ誠一郎は、序盤で先発投手が降板した時ロングリリーフとして登板する事がある。

リリーバーは普通2イニング未満の登板が常だが、ロングリリーフは大体3イニング以上投げる事になる。

いつものようにマウンド上に現れた誠一郎を見て、昨夜の悲しげな表情を思い出し私の胸に鈍い痛みが走る。

野手陣が、セイの元へ集まりコーチを交え話をしてしる。

やがて話終わると、各々の守備位置に戻って行ったけど、キャッチャーだけはセイの立つマウンド上に残った。

セイが公私に渡り信頼してるベテラン捕手。
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