荒れ球リリーバー
彼はセイに笑顔で何か話して掛けている。

初めこそ驚いた顔して彼の話を聞いていたけど話が済むと笑顔で返事して頷いた誠一郎の肩を、彼はポンッと叩いて守備位置に付いた。

こちらには、当然聞こえる事のない画面越しの会話。

何を話してたのかなとテレビを直視する私に、須永先生は再び問い掛けて来た。

「やっぱり、気になるんだ?」

「気にならないって言ってるじゃないですか!」

図星を突かれて苛立ち荒い声で反論してしまった私を、須永先生も居酒屋の客達も驚いた顔して見ていた。

「あっ…ごめんなさいっ…」と我に返り小さな声で謝った私は、その気まずさに俯く事しか出来なかった。

「俺さ、本当は気付いてたよ」

「え?」

「青枝先生が、俺の告白断ろうとしてる事、
気付いてたよ」

その言葉に、今度は私が驚かされた。
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