荒れ球リリーバー
「高岡の事。まだ好き?」と再び繰り返された同じ質問に、今度は素直に答えた。

「私、誠一郎が好きです」

期待させて結局応えられなかった私の返答に寂しげな顔して頷く彼に対して、居たたまれない気持ちになる。

「あの…ごめんなさい…」

私は、小さく頭を下げて謝った。

「大丈夫だよ」と須永先生は微笑んだ。

「それより、野球見よう。気になるんだろ?」

器の大きな優しい須永先生の言葉。

「はい」と返事をして、私はテレビの液晶画面に視線を移した。

画面の中で奮闘する高身長男は、ペース配分を考えて投球する事が苦手だから、3回から4回投げる程度が限度みたい。

液晶画面を直視する私は、只々どうしようもない不安な気持ちに襲われていた。
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