荒れ球リリーバー



校舎到着後。

授業の準備をすべきなのに無気力な私は、幸いにも無人の職員室でデスクに顔を突っ伏した。

考えるのは、セイとユリの事ばかり。

店の出入口で、肩を並べて笑顔で話す二人の写真。

高身長で美男美女。

物凄く似合ってた。

「志乃さーん。生きてます?」

無人の筈の職員室に響く声に顔を上げると、華子ちゃんと須永先生が立ってた。

「うわ~。志乃さん、生気ゼロですね」と楽しげに言う華子ちゃん。

「青枝先生。どうかされたんですか?」と心配そうな須永先生。

正反対な二人の対応をボーッと見ていた。

須永 恭介(すなが きょうすけ)先生。

三十二歳。

華子ちゃん曰く。

本校調理師科卒業生で、日本大使館の元料理長の肩書きを持つ草食系イケメンだ。
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