荒れ球リリーバー
須永先生の車で夜の町並みを走り行き着いた目的地。

そこは、今の私に取って物凄く不健全な場所だった。

「青枝先生。野球に興味ある?」と質問された私の目の前には、極々最近訪れたばかりのドーム球場が立ちはだかる。

最悪なタイミングで来てしまった。

返答する事も忘れ、呆然と建物を見つめる。

「青枝先生?」

須永先生に声を掛けられて、ハッと我に返った。

「あっ。えっと、最近ちょっと興味あります」

本当は随分昔から知り尽くしてるのに、咄嗟に偽りの返答をした。

ドーム内に足を踏み入れたのは、七時半近く。

六時開始の試合は、既に五回の表を終えようとしていた。

須永先生は、知人から譲り受けたと言うチケットを手に私を席へ案内する。

「須永先生は、野球お好きなんですか?」

席に座りながら、問い掛けた。

「それなりに好きかな。最近は、この選手に注目してる」

須永先生は、会場入り口で配布された冊子を見せて来た。
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