荒れ球リリーバー
「随分、仲良さげだったな」

私から視線を反らし顔を歪めて不貞腐れた様子の誠一郎。

その表情と態度から察する感情。

「セイ。妬いてる?」

今にも触れそうな距離で私を見つめる。

少し赤い顔した誠一郎は、恥ずかしげに答えた。

「めちゃくちゃ妬いてる…」

相変わらず直球な言葉が、物凄く嬉しい。

顔が、にやけそう。

緩む口元を必死で引き締めようと奮闘して、ふと考える。

私、大事な事忘れてない?

「あっ!」

突然出した大声に、セイは驚きその長身をビクッと揺らす。

「あんたに妬かれる筋合いない!」

「は?」

危うく流され忘れ掛ける所だった。

目の前で面食らうこの男は、ユリと浮気した最低野郎だ。

「この浮気男!」
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