荒れ球リリーバー
その直球な言葉に知る事が出来る。

久しぶりに会える事。

嬉しかったのは。楽しみだったのは。

私だけじゃなかったんだ。

お土産の数だけセイに想われている気がして、目の前に置かれた土産物達が尚更特別な物に見えて来た。

土産物を一通り渡し終えた誠一郎。

「志乃」

不意に名前を呼ばれた。

「うん?」と首を傾げ、私は土産物から高身長男へ視線を移す。

瞳が閉じられ、セイの顔が近付いて来る。

自然と私も瞳を閉じた。

軽く触れ合う互いの唇。

一度離れて、再び重なる。

今度は口をこじ開けられ、誠一郎の投げるスライダーのように素早く口内へ舌が滑り込む。

舌と舌が絡み合い、淫らな水音を立てる。

「んっ…」

水音と共に私の口から漏れる甘い声。

「セイ…シャワー浴びたい…」

誠一郎を見上げて懇願すると、蕩けそうな程優しい瞳で小さく頷いた。
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