荒れ球リリーバー
共にシャワーを浴び終える。

すると、バスタオル一枚身に付けているだけの私の身体は、フワッと宙に浮き上がった。

いわゆるお姫様抱っこと言う奴を誠一郎にされている。

男の顔してこちらを見るセイと視線が絡み合う。

私を欲する眼差しに、ドキリとさせられる。

カァッと自分の顔が熱くなるのを感じた。

絶対、顔紅い。

思わずパッと顔を反らした。

本当なら、抱き抱えたまま寝室へ行って欲しい。

けど、明日の試合も登板するかもしれない誠一郎の肩に負担を掛けるような真似出来ない。

だから、私は視線を床に向けたまま言った。

「恥ずかしいから、降ろしてよ…」

素直じゃなくて可愛げのない言い草。

セイは優しく笑い掛け、言い返して来た。

「俺、平気だよ」

私の心中なんてお見通しらしい。

バスタオル 一枚を腰に巻いたセイの胸に顔を寄せ、そのまま身を任せる事にした。
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