荒れ球リリーバー
「女子アナと付き合ってるんじゃない。定番じゃん」と言う根拠の無い些細な噂話が、私の胸をチクリと突き刺す。

「志乃さん!始まりますよ!」

華子ちゃんの声に、我に帰った。

「高岡さんの彼女は、志乃さんでしょ。
もっと自信持って下さい」

普段は毒舌な華子ちゃんの励ましの言葉。

華子ちゃんって、実は優しく可愛い後輩だ。

「うん…ありがと…」

頷いてお礼を言った。

でもね、女子アナの方がお似合いな事が分かってるから、自信なんて持てないよ。



「志乃さん!打ちましたよ!」

興奮気味な華子ちゃんの声。

ホームチームのラッキーセブン。

先頭打者が、シングルヒットを打つ。

すかさず、一塁ベースへ代走が出された。

足のスペシャリストであるベテラン選手。

早速、盗塁を決めた。

無死。二塁。
< 87 / 167 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop