荒れ球リリーバー
「セイ?」と小さな声で呼び掛けると、返事の代わりに聞こえるバスルームからの水音。

セイは、シャワーを浴びてるらしい。

「ご飯作ろ」と呟いてキッチンへ向かう。

連絡せず来たからビックリする筈。

驚いた顔した誠一郎を頭に思い浮かべながら、キッチンの扉を開いた。

「え?」

思わず漏れた間抜けな声。

驚いたのは、私だった。

だって、私だけが立てる筈のキッチンに背を向け誰か立っている。

「シャワー終わったの?」

そう言って振り返った人物に見覚えがあった。

綺麗に巻かれた艶のある髪。

長い睫毛のアーモンドアイ。

グロスで光る小さな唇。

男受け抜群なルックス。

間違いなくセイと対談してた女性アナウンサーだった。
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