荒れ球リリーバー
怒鳴られたのは、女子アナだった。

「台所には入るなって言っただろっ!!」

「料理作ってあげたくて……」

彼女は、肩をビクッと震わせながらも言い返す。

「余計な事するなっ!」

怒鳴り付けるセイと涙目の彼女。

ただボーッとその光景を見つめていた私は、セイの首筋に紅い痣がある事に気付く。

自分が付けた物じゃない。



私。また浮気されたんだ。



自然と、足は玄関に向かい動き出した。

「志乃!」

セイの声が、後ろから聞こえる。

「待って!行かないで!」

「離せよ!」

誠一郎が足止めを食らっている間に、私は素早く靴を履く。
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