荒れ球リリーバー



泣きに泣いた夜が、明けた。

目覚めの悪い朝。泣き腫らした真っ赤な瞼の顔が、鏡に映る。

「学校…行きたくないな…」

不登校児のような独り言を呟いたけど、休めない事ぐらいわかっているから、結局いつものように出勤する。

途中、コンビニに入って抹茶ラテを手に取った。

会計をする時。レジ左手前に並んだ新聞が、視界に入る。

その途端。

チャリンッッ

手を滑らせ小銭を落とした。

「あっ…ごめんなさいっ…」

慌てて小銭を拾い集める。

《荒れ球リリーバー!人気女子アナと真剣交際!!》

新聞に書かれた文字達。

小銭を拾う私の指先は、少し震えてた。
< 99 / 167 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop