始めの一歩。
――私が彼を意識し始めたのは、私が無事に2年生へ進級してからの事だった。
「あっ……」
新学期、始めて入ったその教室で、去年とは別の席に座る彼を見つけたのが最初。
『今年も一緒のクラスなんだ』
そう思うと、なんだか不思議と嬉しくて。
でも私は、自分がどうしてこんな風に思うのか分からなくて。
それなのに、彼を教室で見かけるたびに
『挨拶したいな』
『話したいな』
なんて思いが胸の中でざわめくのを感じて。
そこでやっと、私は自分の中の淡い恋心を知った。
そして、
「ぁ………う」
挨拶の一つも自然にできない関係だということも、同時に痛感して。
……それから、私は全ての行動に対して臆病になってしまった。