始めの一歩。




***



それは、金曜日の3時間目――私の得意な国語の授業の時。


少しメタボ気味の金子先生が教室に入ってきた直後。


彼は、先生に何か伝えた後



「悪いけど……教科書見せて」



私に。


私に、話し掛けてきた!


その時、私の席は彼の右隣にあったのだけれど。



「あ、うん」



私は思いもよらない幸運に内心でガッツポーズしながら

彼の机と自分の机をくっつけて、彼にも見えるように教科書を二つの机の真ん中へ置いた。




< 5 / 28 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop