始めの一歩。
***
それは、金曜日の3時間目――私の得意な国語の授業の時。
少しメタボ気味の金子先生が教室に入ってきた直後。
彼は、先生に何か伝えた後
「悪いけど……教科書見せて」
私に。
私に、話し掛けてきた!
その時、私の席は彼の右隣にあったのだけれど。
「あ、うん」
私は思いもよらない幸運に内心でガッツポーズしながら
彼の机と自分の机をくっつけて、彼にも見えるように教科書を二つの机の真ん中へ置いた。