主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-②
元々息吹のものだった部屋からは、きゃっきゃと楽しげな笑い声が聞こえた。
“女がやる遊び”と言ってしまった手前上やっぱり一緒に…とは言えるはずがなく、すごすごと潭月たちの元に戻った主さまは、人数が増えていることにぴりりっ。
「おお十六夜。潭月と周嬢が来るとは聞いていなかったが」
「…別にお前に言う必要もないだろうが。用がないならば出て行け」
「いやいや、座って行け。まさかお前が百鬼に加わるとは思いもしなかったが」
「面白いものを拾ったからな、しばらくは幽玄町に留まることにしたんだ。どうだ、これを見ろ」
抱っこしていた若葉を見せびらかした銀は、周に若葉を抱かせていつも厳しい表情の周が笑ったのを見て尻尾がぴょこぴょこ動きまくる。
ご機嫌な証拠をまざまざと知られてしまったのだが、若葉に関しては銀もややどころかかなり贔屓目な部分があり、潭月が主さまとそっくりな切れ長の瞳を丸くする。
「人の子だな?十六夜と同じことをするつもりか」
「馬鹿を言うな、俺は人の子など嫁にはしない。…なんだその笑みは。癪に障るから引っ込めろ」
潭月がにやにや笑ってかわかおうとしてきたのを察した銀は尻尾をだらりと下げて周から若葉を強奪した。
「息吹。息吹は居るか?お前を恋しがってさっきからぐずっているんだ。泣き止ませてくれ」
部屋の奥に向けて声をかけると、息吹が慌てた様子で飛び出て来た。
皆が注目する中、息吹に気付いた若葉が大声で泣き出してしまい、さっと受け取ってあやしてやるとすぐに落ち着いて指をしゃぶりだした。
「もううちの子にしちゃおうかな。ね、主さま」
「そいつは俺が育てると決めたんだ。ちゃんと後で返してもらうからな」
「主さまと私の赤ちゃんとお友達になってくれるといいな。そうなると女の子がいいのかな」
正直早く隠居したいので男がいいと内心思っていた主さまだったが、口から出たのは――
「…どっちでもいい」
どこまでも、意地っ張り。
“女がやる遊び”と言ってしまった手前上やっぱり一緒に…とは言えるはずがなく、すごすごと潭月たちの元に戻った主さまは、人数が増えていることにぴりりっ。
「おお十六夜。潭月と周嬢が来るとは聞いていなかったが」
「…別にお前に言う必要もないだろうが。用がないならば出て行け」
「いやいや、座って行け。まさかお前が百鬼に加わるとは思いもしなかったが」
「面白いものを拾ったからな、しばらくは幽玄町に留まることにしたんだ。どうだ、これを見ろ」
抱っこしていた若葉を見せびらかした銀は、周に若葉を抱かせていつも厳しい表情の周が笑ったのを見て尻尾がぴょこぴょこ動きまくる。
ご機嫌な証拠をまざまざと知られてしまったのだが、若葉に関しては銀もややどころかかなり贔屓目な部分があり、潭月が主さまとそっくりな切れ長の瞳を丸くする。
「人の子だな?十六夜と同じことをするつもりか」
「馬鹿を言うな、俺は人の子など嫁にはしない。…なんだその笑みは。癪に障るから引っ込めろ」
潭月がにやにや笑ってかわかおうとしてきたのを察した銀は尻尾をだらりと下げて周から若葉を強奪した。
「息吹。息吹は居るか?お前を恋しがってさっきからぐずっているんだ。泣き止ませてくれ」
部屋の奥に向けて声をかけると、息吹が慌てた様子で飛び出て来た。
皆が注目する中、息吹に気付いた若葉が大声で泣き出してしまい、さっと受け取ってあやしてやるとすぐに落ち着いて指をしゃぶりだした。
「もううちの子にしちゃおうかな。ね、主さま」
「そいつは俺が育てると決めたんだ。ちゃんと後で返してもらうからな」
「主さまと私の赤ちゃんとお友達になってくれるといいな。そうなると女の子がいいのかな」
正直早く隠居したいので男がいいと内心思っていた主さまだったが、口から出たのは――
「…どっちでもいい」
どこまでも、意地っ張り。