主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-②
「ねえ主さま、こっち見て」
「…………」
ゆさゆさ肩を揺さぶっても振り向かずにふて寝している主さまのいじけっぷりが凄まじく、息吹は懐から櫛を取り出して勝手に主さまの髪紐を解くと髪を梳き始めた。
「……やめろ」
「産まれたらすぐ主さまを呼ぶから。ね?主さまわかって」
「…俺は我が子が生まれ落ちる瞬間に立ち会いたい。お前が俺の願いを拒む理由が全くわからない」
「はじめてのお産だから不安だし、自分のことだけで精一杯になるだろうし…。どうしても立ち会いたいの?」
息吹が少しだけ譲歩してくれた気がした主さまは、押すのは今だと思って寝返りを打って息吹の手を握ってじっと見つめた。
「…俺にできることは、お前の傍に居てこうして手を握ってやること位しかできない。だがそうさせてほしい。俺に当たり散らしてもいい。叫んだっていい。だから…立ち会わせてくれ」
「主さまの頑固者。本当にそうすると思うけど、それでもいいの?主さまの悪口とかついでに叫んじゃうかも。主さまの女好きで女たらしで浮気者ー!とか」
「…浮気はしていない」
そこだけは完全否定してむくりと起き上がった主さまは、誰も見ていないのをいいことに息吹を膝に乗せて首筋に顔を埋めた。
「ぬ、主さまっ?」
「始終お前の傍に居てやれることはまだできないが、腹の子が男であれば…約束した日は近くなる。お前と俺の子ならば必ず強い力を持った子が産まれてくる」
「もう子煩悩になっちゃってるの?…仕方ないなあ…じゃあ…立ち会ってもらうことにするね。父様には私から言っておくから」
「大船に乗ったつもりで気張れ。あと…唇をよこせ」
「え…っ?主さ……ま…」
言うや否や、突然主さまに唇を奪われた息吹は、強引に攻め込んでくる主さまに押されて押し倒されてしまった。
「ちょ、ちょ、ちょっと主さま…何するつもり!?私今お腹に赤ちゃんが…」
「…両方とも可愛がってやる。夫として…父親としてな」
「…主さまの助平」
拒絶が無いとわかると、後は主さまの思うがまま。
出産の立ち会いも許可されてご機嫌になった主さまは、部屋に術をかけて音の遮断や出入りができないようにして、息吹と我が子を愛した。
「…………」
ゆさゆさ肩を揺さぶっても振り向かずにふて寝している主さまのいじけっぷりが凄まじく、息吹は懐から櫛を取り出して勝手に主さまの髪紐を解くと髪を梳き始めた。
「……やめろ」
「産まれたらすぐ主さまを呼ぶから。ね?主さまわかって」
「…俺は我が子が生まれ落ちる瞬間に立ち会いたい。お前が俺の願いを拒む理由が全くわからない」
「はじめてのお産だから不安だし、自分のことだけで精一杯になるだろうし…。どうしても立ち会いたいの?」
息吹が少しだけ譲歩してくれた気がした主さまは、押すのは今だと思って寝返りを打って息吹の手を握ってじっと見つめた。
「…俺にできることは、お前の傍に居てこうして手を握ってやること位しかできない。だがそうさせてほしい。俺に当たり散らしてもいい。叫んだっていい。だから…立ち会わせてくれ」
「主さまの頑固者。本当にそうすると思うけど、それでもいいの?主さまの悪口とかついでに叫んじゃうかも。主さまの女好きで女たらしで浮気者ー!とか」
「…浮気はしていない」
そこだけは完全否定してむくりと起き上がった主さまは、誰も見ていないのをいいことに息吹を膝に乗せて首筋に顔を埋めた。
「ぬ、主さまっ?」
「始終お前の傍に居てやれることはまだできないが、腹の子が男であれば…約束した日は近くなる。お前と俺の子ならば必ず強い力を持った子が産まれてくる」
「もう子煩悩になっちゃってるの?…仕方ないなあ…じゃあ…立ち会ってもらうことにするね。父様には私から言っておくから」
「大船に乗ったつもりで気張れ。あと…唇をよこせ」
「え…っ?主さ……ま…」
言うや否や、突然主さまに唇を奪われた息吹は、強引に攻め込んでくる主さまに押されて押し倒されてしまった。
「ちょ、ちょ、ちょっと主さま…何するつもり!?私今お腹に赤ちゃんが…」
「…両方とも可愛がってやる。夫として…父親としてな」
「…主さまの助平」
拒絶が無いとわかると、後は主さまの思うがまま。
出産の立ち会いも許可されてご機嫌になった主さまは、部屋に術をかけて音の遮断や出入りができないようにして、息吹と我が子を愛した。