主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-②
昼間…百鬼夜行前にも関わらず、百鬼の中でも絶大な力を持つ妖が多数召集された。
天狗が持ち寄って来た情報を彼らに明かした主さまは渋面を作り、また彼らも同じような顔になって眉を潜める。
「またあの鬼っ子めが…何度主さまに立てつくつもりだ?」
「百鬼に入れもせん妖ばかり集めているらしいが、束になれば百鬼1匹分の力にはなるかもしれんぞ」
「…俺は村を襲って人を食い尽くしているその状況を憂いている。今止めなければ北から人が絶滅するぞ」
主さまのように力の強い妖ともなれば、人を食わずとも生きてゆける。
だが小物はそうはいかない。
人は食料であり、人を食わねば生きていけない妖が存在するのも事実。
百鬼に加わった妖は主さまと誓約を結び、罪を犯した人のみ食うことを許している。
故に幽玄町に住んでいる住人たちは罪を犯さないし、むしろ彼らに感謝しているほどだ。
そして大抵、人を食う時は――百鬼夜行時に行われる。
彼らにも褒美が必要で、また罪を犯した人には主さまも同情することはない。
「絶滅か。そんな食い方をすればいずれ食い尽くして自らが困るというのになあ」
「今が良ければいいという考え方なのか。酒呑童子は毎回主さまに噛みついて百鬼夜行の王となろうとするがそんな器ではないぞ」
悪事を働いている妖にとっては、百鬼夜行に目を付けられれば死を覚悟しなければならない厄介な存在。
だが酒呑童子はその目を掻い潜って同志を集めつつあるのだろう。
打倒・百鬼夜行を。
「十六夜よ、娘っ子が大事ならば打って出るしかない。やるか?」
「……やらねば、こちらがやられる」
ぬらりひょんの確認に主さまがそう返すと、十数匹集まっていた百鬼がどっと沸いた。
彼らにとっては酒呑童子一派は目障りで、過去何度も同志を殺された因縁の相手。
そして主さまが打って出るのは、これがはじめてのこと。
「主さま…息吹が心配するんじゃないですかねえ」
「…晴明に協力させて息吹の回りを固める。酒呑童子を見つけ出して…殺す」
もう二度と立ち向かってこないように。
主さまが決断を下した。
天狗が持ち寄って来た情報を彼らに明かした主さまは渋面を作り、また彼らも同じような顔になって眉を潜める。
「またあの鬼っ子めが…何度主さまに立てつくつもりだ?」
「百鬼に入れもせん妖ばかり集めているらしいが、束になれば百鬼1匹分の力にはなるかもしれんぞ」
「…俺は村を襲って人を食い尽くしているその状況を憂いている。今止めなければ北から人が絶滅するぞ」
主さまのように力の強い妖ともなれば、人を食わずとも生きてゆける。
だが小物はそうはいかない。
人は食料であり、人を食わねば生きていけない妖が存在するのも事実。
百鬼に加わった妖は主さまと誓約を結び、罪を犯した人のみ食うことを許している。
故に幽玄町に住んでいる住人たちは罪を犯さないし、むしろ彼らに感謝しているほどだ。
そして大抵、人を食う時は――百鬼夜行時に行われる。
彼らにも褒美が必要で、また罪を犯した人には主さまも同情することはない。
「絶滅か。そんな食い方をすればいずれ食い尽くして自らが困るというのになあ」
「今が良ければいいという考え方なのか。酒呑童子は毎回主さまに噛みついて百鬼夜行の王となろうとするがそんな器ではないぞ」
悪事を働いている妖にとっては、百鬼夜行に目を付けられれば死を覚悟しなければならない厄介な存在。
だが酒呑童子はその目を掻い潜って同志を集めつつあるのだろう。
打倒・百鬼夜行を。
「十六夜よ、娘っ子が大事ならば打って出るしかない。やるか?」
「……やらねば、こちらがやられる」
ぬらりひょんの確認に主さまがそう返すと、十数匹集まっていた百鬼がどっと沸いた。
彼らにとっては酒呑童子一派は目障りで、過去何度も同志を殺された因縁の相手。
そして主さまが打って出るのは、これがはじめてのこと。
「主さま…息吹が心配するんじゃないですかねえ」
「…晴明に協力させて息吹の回りを固める。酒呑童子を見つけ出して…殺す」
もう二度と立ち向かってこないように。
主さまが決断を下した。