泣き虫総長と5ヶ月恋愛
綺輝に連れてこられたのはこの学校で一番古い校舎。
木造で、今では誰も来ない。
「響夜歌、そこ座って。」
私たちが隠れ家として使っているため、レジャーシートを敷いている。
いつものようにちょこんと座る。
すると、綺輝は隣には座らず机にドカっと腰かけ話し出した。
「響夜歌が昨日言ってた『輝夜蘭』はここら辺ってゆうか…。全国でも有名な暴走族なの。そこの総長が昨日変わったんだよね。蘭と狼が見つめ合うように刺繍されてたら、それは篠宮司輝人。狼が蘭を咥えてたら前の総長。響夜歌が見たのは司輝人。」
思い出すことなんてなかった。
その刺繍がかなり印象深かったから。
「篠宮…司輝人…」
はぁー。と大きく息を吐く綺輝。
「あんた篠宮司輝人ってね、凄いんだよ?いや、先代も凄かったって噂だけどね。篠宮司輝人は、私たちが受ける都里尾高校の2年。しかも学年トップ。輝夜蘭に入ってる人たちは全員都里尾高校。それに、全員成績トップ。しかも、輝夜蘭は容姿端麗、スポーツ万能。つまり文武両道。みんなが憧れる意味わかるよね?」
優しく問いかける綺輝。
いくら疎い私でもわかる。