届かぬ想い ◇TABOO◇
指輪の跡
予約していたテーブルに滑り込み
メニューを広げると、急にお腹が空いてきた。
主任の隣に座る偶然を神に感謝し、回ってきたおしぼりを主任に渡す。
「ありがとう。さて……まずはビールの人!」
率先して手を上げて
部下達の飲み物確認。
そんな主任の左手には
白い指輪の跡がある。
ぼーっと見ていると
「さぁ大橋さんは何を食べる?細いからもっと食べて太ってもいいよ」
メニューを押され
主任の香りが近寄ってきて
ドキドキしてしまう。
「細くないですよ。主任こそしっかり食べて下さい。今日のお昼だって来客騒ぎで食べてないでしょう」
「よく見てらっしゃる」
ふざけ口調で言い
私の頭を撫でるので、ドキドキが加速。
「これにしよーかなー」
綺麗な爪が
メニュー表に流れゆく。
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