カラフル
「洋介くんはしないの? 朝香に」
ぎこちない態度になった自分を消すかのように、あたしは話の支点を変える。
「えっ、なんで知って……」
好きな相手がばれていたことに驚いたのだろう。
目を丸くして慌てる洋介くんは、手のひらで口を塞ぎ、言いかけた言葉を止めていく。
クスクス笑うあたしを見て、彼は恥ずかしそうに「はめられた」とつぶやいた。
別にこんな形で聞き出さなくても、見ているだけですぐわかる。
高校に入って仲良くなった朝香とは、ずっと一緒に行動しているのだから、彼女にちょっかいを出す彼の気持ちなど、とっくの前から知っていた。
「頑張ってね」と囁くと、洋介くんは顔を真っ赤にしながら頷く。