カラフル
「……あぁ、何の話かと思ったら。あれ、俺宛ての手紙じゃないよ」
顔を歪めてあたしの話を聞いていた彼は、突然、ケタケタ笑い出す。
そして、事情を話してくれたの。
バスケ部の友達が佐奈に片思いしていて、洋介はその人からラブレターを渡してほしいと頼まれたらしい。
あたしが見たのは、その返事を洋介に渡す佐奈の姿だったと判明した。
そのことを知ったあたしは、佐奈に対して、申し訳ない気持ちになっていく。
「どうしよう。……謝らなきゃ」
信じることが出来ず、佐奈のことを一方的に疑っていたあたしは、ひどいことを言ってしまった。
一度、止んだはずの涙が、また溢れてくる。
すると、洋介は腰を曲げて、にっこり微笑みながら顔を覗き込んできた。