カラフル
「目の周り、真っ黒じゃん。パンダみてぇ」
涙で滲んだアイラインを親指でふき取りながら、馬鹿にしてくる彼。
「ちょ……見ないでよ」
慌てるあたしは、顔を背けながら、まぶたや目尻を気にしていた。
「そりゃあ、野島さんと比べたら、お前の顔は負けてるかもしんねぇけどさ」
洋介は笑うのをやめて、小さな声で囁いてくる。
「お前だって笑ってれば、少しは……マシなんじゃねぇの?」
いつもとは少し違う、真剣な声。
振り返って顔を見たけれど、洋介はあっちを向いたままで、表情は確認できなかった。
だけど、あたしの心はほわっと温かくなっていく。