カラフル

泣いたせいで、きっと目の周りは真っ黒だ。

でも、すごく嬉しかったから、あたしは彼をまっすぐ見上げるの。

「……ありがと」

初めて素直になれた気がした。

そう声をかけると、洋介はゆっくり振り返り、「パンダ」と呟いた。


その日の夜、あたしは佐奈に電話をかけた。

誤解して疑ったことを謝ると、佐奈も「傷つけるようなことを言ってごめん」と言ってくれた。

そして、約束したんだ。

「明日の朝、郁にちゃんと謝ろうね」って。

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