片想い
カバンから携帯を取り出し、震える指でさっきの店の名前を調べた。すると、かつて敏輝が働いていた店と同じ系列店ということが分かった。
菜月には、店に戻るという選択肢はなく、佑介がくれたメールで30分以上経過していたことが分かった。
「どうしたの?」
「トイレから出たら、急に気持ち悪くなっちゃって、ただの貧血だと思う。」
そう言って、とっさに菜月は嘘をついた。
「確かに、顔色悪いね。帰ろうか、送ってく。」
椅子から立ち上がった瞬間、倒れないように、佑介が菜月の身体を支えた。