片想い




「菜月ちゃん、そろそろ止めておいた方がいいよ。」



オーナーは、いつもより飲み過ぎな菜月を見て、心配していた。



「オーナー、私、幸せになれるのかな?」



菜月は、涼子が妊娠して結婚することを決心したにも関わらず、自分は、今だに敏輝の存在がちらつき、佑介との結婚を決め切れない自分自身に不安になり、つい思ったことを口に出してしまった。



しかし、オーナーは、菜月に優しく声を掛けた。



「なれるよ、自分の気持ちに素直になれば。」



ちょうど、その時、店のドアが開いた。菜月は、振り返らずグラスに視線を落したままだった。近づく足跡が菜月の隣で止まった。




< 115 / 132 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop