片想い
「久しぶりだな、って言っても、先週の日曜日に会ってるけどな。」
敏輝は、菜月の様子を伺いながら話しだした。菜月は、相変わらず置いてあるグラスを見つめていた。
「実は、3カ月前から、転勤でまたこっちに戻ってきたんだ。今は、あの駅ビルの店舗で働いてる。引っ越してきた時、真っ先にここに来たんだ。もしかしたら、まだ菜月が通ってるかも知れないって思って、でも、オーナーに聞いたら3年間全く来てないって、オーナー嘘ついてたな。」
「違うの。」
そこまで聞いて菜月は、やっと顔を上げ、敏輝に向かって言った。すると、敏輝も菜月を見つめ「やっと、顔上げたな。」と、小さく笑った。