片想い




「私もここに来るようになったのは、つい最近なの。先週の日曜日、敏輝と会った日ここに来て、オーナーに敏輝と会ったことを話したら、敏輝が通ってるって聞いて、オーナーには私が来たこと黙ってて欲しいってお願いしたの。」



言い終えると、菜月は、中身が残っているグラスを口にして、一気に飲み干した。



「結婚したのか?」



敏輝は、菜月の左薬指に指輪がないことを確認しながら質問した。



「してない、けど、申し込まれてる。」



「じゃあ、まだ間に合うな。」



そう言って、敏輝は、カバンの中を漁り始めた。そして、小さな箱を取り出し菜月の前に置いた。



「菜月、結婚して欲しい。」
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