片想い
「こちらのタイプも人気がありますよ。」
上着の中を見せながら熱心に勧めてくる。“裏地が所々付いていないので、通年で使えますよ、それに”
「申し訳ないんですけど、特に新しく買う予定はないんです。」
「そうだったんですか。」
ちょうど、その時、試着室の扉が開き、涼子が出てきた。
「どう菜月、このライン細く見えるよね。どうしようかな、買っちゃおうかな」
そう言いながら、涼子は、角度を変え見ながら、鏡で自分の姿を確認している。