片想い
「バイト、何時までなの?」
「今日は、もうほとんどお客さんいないから、22時半くらいには上がれると思います。」
「良かったら、ちょっと、話さない、塚原さん?向かい側のファミレスで待ってるからさ。」
高山さんは、名前を確認するように、左胸の名札に書かれた名字を見ながら読み上げた。仕事の時より砕けた話し方が、少し年上のお兄さんと話しているようで、急に親しみやすく感じた。菜月は、ちょっと高山さんに興味を持ち始めていた。
「分かりました。急いで終わらせますね。」
「そんなに慌てなくていいからさ。じゃあ、後で。」
そう言って、高山さんは、コートを翻して行ってしまった。