片想い
「おめでとう。今日、仕事早めに終わりそうだから、先に家に居て。」
電話越しの敏輝の声は、いつもの優しい敏輝の声より硬かった。
「ありがとう。また、あとでね。」
*
前に貰っていた合鍵で、先に部屋に入る。部屋の中は、脱いだ服や飲みかけのコップがそのまま置きっぱなしだった。菜月は、それらを片付けながら、置いてある部屋着に着替えた。その時、インターフォンが鳴った。
ドアに近づき、ドアスコープの覗くと敏輝だった。