片想い
「だいたい入社して最初の店舗は、出身地の近くになる場合が多くて、次の転勤で遠くに飛ばされることが多いんだ。だけど、俺は、まだ近隣の県に飛ばされただけで正直、ラッキーだったと思う。」
「いつ引っ越すの?」
「再来週から向こうで勤務だから、来週末には引っ越す。1カ月前から分かってたんだけど、菜月の就職が決まった時だったし、楽しい雰囲気したくなかったんだ。」
“だから、あの時、敏輝の表情が硬かったんだ。”と、その時の事を思い出し、菜月は納得した。
「だから、菜月、」