片想い
「転勤は、1カ月前に決まってたみたいだけど、私は、先週、聞いたの。そう考えると、何も相談されない私は、まだまだ敏輝にとっては子供だったんだって、思い知らされたの。それに、敏輝の重荷になりたくないの。」
そこまで言うと、菜月の目は、涙で一杯となりで、瞬きをしたら今にも溢れそうだった。そんな菜月に、涼子はハンカチを渡しながら言った。
「菜月、このままでいいの?ちゃんと高山さんと、どうするのか話し合わなくていいの?」
菜月は、ハンカチで目元を押え涙を堪えていたため、返事が出来なかった。
「菜月、」
涼子は、菜月の表情を見ながら、一言だけ話した。
「それでも、最後にもう一度、会って話してね。後悔しないように。」
「うん、ありがとう。」