片想い








ついに、敏輝の引っ越しが明日になってしまった。菜月は、部屋で携帯を開き、敏輝からのメールを見ていた。あの日から、電話には一切出なかったため、敏輝も電話で話すことは諦めたのかメールだけ送ってきていた。



“菜月、怒ってる?”“会って、きちんと話したい。”“連絡して欲しい。”たった、一言のメールが何十件も届いていた。一番、最新のメールを開いたことで、明日、敏輝が引っ越すことが分かった。



“後悔しないようにね。”涼子の言葉が胸に刺さる。



そこに、ちょうど着信を知らせる音が響いた。ディスプレイを見ると、敏輝からだった。なかなか鳴りやまない音を聞き、菜月はついに電話に出た。



“もしもし、菜月?”



「もしもし、」
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