片想い
「菜月ちゃん、ごゆっくり。」
菜月は軽く会釈をして敏輝と、卓也さんの後姿を見た。
「弟の卓也が引っ越し手伝ってくれてさ、ほとんど何もないけど上がって。」
「ここでいい」
菜月は、部屋の中に促す敏輝に断り、玄関で話を済ませようとした。そして、まだ空いていた玄関のドアを閉め、敏輝と向き合った。
「菜月、痩せたな。」
そう言いながら、敏輝は、右手を菜月の左頬に添えた。
「敏輝こそ、ちゃんと食べてる?」