片想い
頬に添えられた手で、自然と敏輝と目が合うようになってしまった。2人は目で会話をしているのかのように、じっと見つめていた。しかし、菜月の方から意を決して、視線を持ってきたカバンに移し、その中から小さな箱を取り出した。
「これ、誕生日プレゼント。ちょっと、早いけど、敏輝の誕生日は、もう一緒にお祝い出来ないから。」
これが、菜月の出した答えだった。
「ありがとう。」
敏輝は、差し出された箱を受け取りすぐに菜月に視線を戻した。
「じゃあ、行くね。」
敏輝の視線を感じていたが、目線を合わせることなく、帰ろうとした時、突然、敏輝が後ろから抱きしめてきた。